(1) 協会7号酵母から分離された泡なし酵母AS7-1, BS10-6について, 実地醸造試験および醪における酵母の分布状態についての試験を行なった。 (2) 醪の経過は留後4日目頃の品温が急昇し, ボーメの切れ, アルコール分の生成が早く, 醪目数が短くなる傾向が強く, 醪の誘導など管理を適切に行なう必要がある。 (3) これは酵母の泡への移行がないため, 醪中の酵母密度が高くなることに起因していると思われる。なお, AS7-1の醪について調査した結果, 後期に酵母が著しく弱性化され, 生酵母数が少なくなることを認めた。 (4) 全般的にAS7-1の製成酒は酸が少なく, 香りのよい酒になったが, 反面醪の誘導が適切でない場合にアミノ酸の生成が多く着色した酒になる傾向もみられた。酒化率は一般的には変らないようであった。