63株の火落菌についてビタミン要求性を調べた。ヘテロ発酵型火落菌はチアミン, リボフラビン.パントテン酸, ニコチン酸, ビオチンを必須的または生育促進的に要求し, ピリドキサール, 葉酸は菌株により生育促進的に要求する。ホモ発酵型火落菌はリボフラピン, ピリドキサール, パントテン酸, ニコチン酸, ビオチンを必須的または生育促進的に要求し, ビタミンB12は菌株により生育促進的に要求する。 活性炭処理25号清酒中のビタミン濃度はヘテロ発酵型真性火落菌に対しては葉酸を除きすべて不足であり, ホモ発酵型真性火落菌に対してはニコチン酸とリボフラビンが不足であった。清酒中で火落菌の生育を支配している主要な因子はビタミン濃度であり, 清酒中においてヘテロ発酵型真性火落菌の生育がホモ発酵型真性火落菌に比べて著しく悪いのは, 最大生育に必要なビタミン濃度に差があるためと考えた。