旧式焼酎醸造の微生物管理を目的として, 米麹・甘藷仕込 (いわゆる “いも焼酎”) 過程の微生物相の変遷を検討した。 製麹には生酸性の Asp.kawackii を用いるが, 製麹の1日目には主として Micrococcus, Leuconostoc が1g中103~104存在し, 2日目の出麹にはこれらの菌数は減少する。 麹中の酵母は1g中103検出されるが, 殆んどが Candida 属で Sacckarmyces 属は見出されなかった。 酒母過程では仕込時に約5×106/mlになるように添加した焼酎酵母 Sacck.cerevisiae が優位に生育し, 麹から持込まれた細菌, 酵母は陶汰され, 麹中に存在した産膜性の Candida と Bacillsd 属菌が殆んど増殖せずに生存する程度 (約102/ml) に存在する。そのほか, 新たに, ヘテロ型乳酸程菌 L.buckneri が検出されたが80/mlに過ぎない。 育成酒母に蒸煮甘藷を添加した二次酵では, 前記 L.buckneri が新に現われる同じヘテロ型乳酸桿菌 L.betadelbruckii と共に約103/mlまで増殖する。しかし, 焼酎酵母は駐盛に生育し, 順調にアルコールが増加し, 14.6%に達した蒸留前の膠にはこれら乳酸菌は検出されなくなる。 以上のように米麹・甘藷仕込は製麹に Asp.kowaokii を用いるので, その生酸のため全過程を通じ, 雑菌の陶汰がなされていることがわかった