昭和43年市販のおり下げ剤の成分分析, おり下げ効果およびおり下げ剤から処理清酒への金属の移行を検討した。成分分析中, 水分はほぼ8~10%のものが多く, 灰分は0~90%と幅が広いが, 物理的おり下げ剤では, 増量剤に由来する。全窒素は0.1~16%であり, おり下げ剤の種類によって差がある。灰分中の金属は, 酵素製剤でK, Mg含量が多く, 全鉄含量は大部分が10mg%以下である。柿渋中には, Kが多くCaは製品によってバラッキが認められる。 おり下げ処理にともなう清酒への鉄の移行は, 多いもので10%, 逆に処理後わずかに減少しているものもあり, おり下げ剤中の全鉄が多くても清酒に移行し易いとはいえない。これはおり下げ剤中の鉄の形態および酒質によって変動するものと考察した。