味噌の品質はよくなってきたといわれているのに消費は停滞だという。味噌の需要喚起が叫ばれて久しいが, その対策となると妙案もないようだ。新春にあたり味噌を愛し, 味噌と共に歩んできた著者に味噌の今昔を語っていただいたが, 本稿は需要喚起の方向指示とも受け取ることができよう。時代が変ったということだけでは済されない。慌しい現代生活の中に日本の四季を取り戻し, 食生活の中で味噌のバライティーと味噌の季節料理の楽しさとを重んじていくようにすることは生産者の務めでもある。国鉄の宣伝する「私の中の日本」は観光と限ったことではない。著者はDiscover Misoといいたげである。