濃縮ブドウ搾汁に酒石酸を添加してブドウ酒を製造, 酸度の調整と酒石析出防止に関し検討した。 (1) 全酒石酸 (添加酒石酸を含む) は発酵期間を通じてほとんど増減はなく, また補酸による発酵への影響は全くみられなかった。 (2) カリウム含量は発酵前期の酵母増殖期に約120ppmの減少がみられた。これはおそらく酵母の資化によったものと考えられる。 (3) 各温度 (-10℃,-5℃, 0℃) の3段階で冷凍処理した場合の酒石酸, カリウム含量の減少率は低温度処理ほど高く, 補酸として有効な酒石酸量は本試験の場合約1g/ l であった。 (4) 本邦産ブドウ酒の混和は酒石酸保持力を高めるのに有効であった。