出荷後にも品質安定性のある東北産清酒の製造を行なうことを日的として, まず東北産清酒 (I級酒) の品質変化の現状と原因を調査するため, 市販酒の成分分析, 官能審査により検討を行ない以下の事項を認めた。 1.製造方法において, 東北酒は, 参考酒の灘・伏見酒に比較し単純平均精米歩合 (4%の差で低い), もろみ日数 (約1週間長い), 粕歩合 (7%の差で少ない), アル添から上槽までの日数 (1日長い), 上槽後, 火入までの日数 (約30日長い) に顕著な差が認められた。 2.官能試験および成分分析より, 酒質変化の大きさは貯蔵着色, 日光着色と高い相関性があると考えられた。(雑味, 老香, 熟度と貯蔵着色のr>0.6) 3.日光着色と製造方法の間では, もろみ日数, 粕歩合, 増醸混和率, 出荷時炭素使用量において5%の危険率で有意であり, 全炭素使用量では1%の危険率で有意であった。 4.貯蔵着色と製造方法との間では粕歩合が5%の危険率で有意であった。 5.以上より, 日光, 貯蔵着色に関して特に粕歩合の影響が非常に大きいことが推定された。