Deferriferrichrome (以下DFと略す) 非生産性変異麹菌3株を使って中間規模の仕込試験を行なった結果, 1.種麹の製麹温度として, A-27は25~35℃ の温度範囲で胞子収量に大差は認められないが, FN-16およびFN-30では胞子形成能に温度感受性が認められ, 特にFN-30は27℃ の低温でよく胞子を着生した。 2.箱麹法で製魍した結果, 品温, 状ぼうの進み方はA-27>FN-16>FN-30の順であり, 特にFN-16, FN-30は床もみ温度を35℃ に高めた方が製麹し易かった。 3.出麹のα-アミラーゼカおよび総合糖化力はA-27>FN-16>FN-30の順であり, 酸性プロテアーゼカはA-27>FN-30>FN-16の順であった。特にA-27は対照の市販種麹と同レベルの酵素力価を示した。また, 出麹の褐変程度はA-27>FN-30>FN-16の順であり, FN-16は非褐変性の麹菌であることを確認した。 4.製成酒はいずれの菌株の酒にもDFは認められなかった。FN-16, FN-30を使用した酒は酸度, 特にアミノ酸度が少なかった。また, DF非生産性菌はいずれも日光による着色増加が少ないことを確認した. 5.製造歩合では, 市販種麹に比べて, 粕歩合はFN-30が多く, A-27およびFN-16は同程度以下であった。他の製造歩合はFN-16, FN-30が市販種麹・A-27に比べて低い値であった。