1) もろみ中における蒸米の溶解現象を解析するために, 酵素剤を用い, α-アミラーゼおよび発酵温度を変えたモデル仕込みを行なった。 2) もろみ中での蒸米の溶解は, dS/dt=-kE0αSなる式に従うことを確認し, その常数σ=kE0αに対し, α-アミラーゼが100units/g-白米の場合は, 12, 15, 18℃ についてそれぞれ0.133, 0.187, 0.255なる値を, またα-アミラーゼが800units/g-白米の場合は, それぞれ0.190, 0.266, 0.374なる値を適用することにより実験値と割合良く適合するカーブが得られた。 3) これらの常数をもとにアレニゥスプロットを行ない, もろみ中における蒸米溶解の見掛けの活性化エネルギーを求めた結果, 約18kca1/moleと計算された。 4) アルコール生成はもろみ7日目位までは直線的に推移し, α-アミラーゼレベルの低い方が生成速度は速いようであったが, それ以後はα-アミラーゼレベルに関係なく同じ速度になった。 5) アルンール生成速度係数からアレニウスプロットによりアルコール生成の見掛けの活性化エネルギーを求めた結果, 約11kca1/moleと計算された。 6) もろみの極く初期における蒸米の溶解性に関しては不明な点が多く, これに関しての考察を行なった。