(1) 実地醸造において, 仕込に使用している出麹のDFCY量について測定を行ったところ, 製麹機の機種, 蔵 (操作, 経過など) 麹米の品種によりDFCYの生成量に差異がみられたので, 実地醸造の範囲で製麹条件とDFCYの生成量について調査を行った。 (2) その結果, 製麹機の機種によりDFCYの生成量に差がみられ, 出麹時間に近づくと生成の速度が早くなり, 麹の酵素力価と同様な傾向を示した。 (3) 代表的な7品種の心白米について, 同一条件で製麹を行いDFCYの生成量を比較したが, 玉栄, 五百万石, 福の花>八反, 高嶺錦>兵系酒28号, 山田錦の順で小であり, 心白米の品種によりDFCYの生成量に大きな違いがみられ, 特に山田錦は製麹後半における生成量が他に比して少なかった。 (4) 麹米の精米歩合が高くなるほど, DFCYの生成量が多かった。 (5) 市販種麹の種類の違いによるDFCYの生成量は, テスト範囲では種麹メーカーで力価の強いと評価しているものの方が多かった。 (6) DFCY生成に関与する要因の中で, 比較的大きいと考えられる原料米の品種, 種麹, 製麹品温および製麹時間の4つの因子を組合せ, 実験計画法に基づいて各要因の分析を行った結果, テスト範囲では製麹温度, 米の品種がDFCYの生成の大きな要因であった。