1) 協会7号酵母とその泡なし変異株AS7-1酵母とにより清酒もろみを仕込み, その並行複発酵機構の差異を検討した。 2) 協会7号酵母のもろみは高泡発生頃よりAS7-1のものに比べて発酵速度が低下したが, これに消泡剤を加えたものはAS7-1のものと似た発酵パターンになった。従って協会7号もろみにおける発酵速度の低下は泡に起因することが確認された。高泡時には酵母の約50%近くが泡に存在していることが推定された。 3) 協会7号酵母もろみは, AS7-1のものより高いグルコアミラーゼレベルまで発酵の律速をうけ, また濾液中にグルコースを3~5%程度残すようであった。これに反しAS7-1によるものは殆んど1%以下しか残さなかった。 4) 蒸米の溶解やグルコース生成は或程度アルコール発酵に影響される傾向はあったが, そのパターンは基本的には酵母の種類によって影響を受けず, 酵素九温度等によってのみ支配されるものであることを認めた。