本格焼酎に含まれるリノール酸エチルは油臭の主要な前駆物質であるが, これを石綿ろ過によって除去する条件について検討し, 製造場のろ過, 精製工程において使用し得る管理図を作成した。 1) リノール酸エチルの焼酎に対する溶解度は温度に比べてアルコール度数により大きく影響される。特に製品のアルコール分が35度を超えると急に増大する。 2) 焼酎に溶存するリノール酸エチルを希薄溶液の溶解度の観点より解析し, 溶解度とアルコール分および温度の関係式を導いた。 3) ニタノール水溶液にリノール酸エチルをけん濁して一定温度で保持した場合, 時間の経過とともにコロイド粒子が成長して, ろ過による除去率が高まる。 4) 石綿ろ過する場合, 処理酒のアルコール分, 品温, 処理後のリノール酸エチル濃度の三者の関係を示す管理図を作成した。