Asp.niger および Asp.oryzae のtransglucosidaseの諸性質および可溶性澱粉を基質としてglucose転位作用を調べ以下の知見を得た。 1) 至適pHは Asp.niger の酵素pH4.0~5.5, Asp.oryzae の酵素pH4.5~5.0であった。pH安定性は Asp.niger の酵素pH4.5~6.5, Asp.oryzae の酵素pH5.0~6.0であった。 2) 酵素反応速度に及ぼす反応温度の影響は Asp.niger の酵素は10℃~60℃, Asp.oryzaeの酵素は10℃~40℃の温度範囲において, アレニウス式で示された。活性化エネルギーは両酵素とも同一で約12.8kcal/moleであった。熱安定性は Asp.niger の酵素は55℃, Asp.oryzae の酵素は40℃まで安定であった。 3) 基質特異性はmaltoseの分解性が高く, 可溶性澱粉よりも Asp. niger の酵素は約44倍, Asp.oryzae の酵素は約4倍大きかった。 4) 可溶性澱粉を基質として, 精製酵素がglucose転位作用を有することを確認した。glucose転位作用はα-amylaseとの混合系において行なわれ, 清酒中に存在するオリゴ糖が生成することを知った。