球磨しょうちゅうについて, 伝統的な方法を踏襲する育て配型式の製造法と現行法を比較し, その一般化学成分の差異について検討した。 1) 育て翫仕込みは黄麹を使用し, 普通仕込みは白麹を使用しているが, 酵素活性において前者は後者に比してα-アミラーゼ, グルコアミラーゼとも著しく活性が高く, 酸性プロテアーゼに差はなかった02) 酵中酵母生菌数の減少の度合は, 育て翫仕込みはゆるやかであったが, 普通仕込みは急激であった。 3) 酵ろ液中の各成分の変化は, (i) 糖類の減少に対応してアルコールが増加した。(ii) 全糖量は育て翫仕込みで最高26%, 普通仕込みでは8%であった。(iii) 酸度については, 二次膠で育て翫仕込みは8ml, 昔通仕込みは6-7mlであった。(iv) アミノ酸は両仕込みとも, 二次以降蒸留までに約2.5ml漸増した。 4) 育て醗仕込みしょうちゅうの剛酒を行なったところ,「きれいだが, やや荒い」という評価を得た。貯蔵により品質の向上が期待されると判断された。