比色法による清酒中のZnの定量法を設定し, さらに製造歩合や諸成分値, 官能熟度との相関を検討し, Znの意義を考察した。 1) 設定したジチゾンによる比色定量法と原子吸光法とを比較した。原子吸光法の希釈法との相関係数γ=0.9917**, 湿式灰化法との相関係数r=0.9796**となり両者は高度に有意であり, 本法は定重性があった。 2) Zn含重は蒸米の溶解に関する項目と密接な関係があった。 3) Znは清酒の熟成に直接関与するものではなく, 含窒素化合物, アミノ酸などの熟成関与成分の代用特性としての意義を持つものと推定した。