酒造米の適性を知る一手法として, 走査型電子顕微鏡を用いて米粒組織の微細構造を分析値および諸性質の異なる山田錦 (YA) とシオカリ (S1) の2品種を主体に5品種を比較した。 1.米粒横断面による比較 (1) 表層の形状背腹経線上の中心点はYAがほぼ中心に存在する (a/b比1.02) のに対して, S1は極端に腹部に片寄って (a/b比1.77), 背部と腹部の発育にかなりの差が見られた。 (2) 糊粉層玄米の側面の層はYAが1層で扁平であるのに対して, S1は2層で厚みがある。75%白米の粗脂肪はS1がYAの1.5倍量多い。 (3) 胚乳細胞の配列と形状YAは細胞の配列も良く, 中心周辺の細胞も大きくて丸味を呈するが, S1は細胞も小粒で角ばり, 接合の度合も密である。 (4) 胚乳細胞内の澱粉複粒YAは澱粉複粒間に間隙が認められるが, S1は間隙が少なく, 密度が非常に高い。 (5) 網状蛋白の組織構造YAは網状構造が非常に粗であるのに対し, S1は反対に密である。 2.分画澱粉粒YAは大, 中, 小粒の澱粉粒が混存し, 円滑であるが, S1は中, 小粒で構成され, 角ばってやせている。