甲州種を原料として発酵時のSO2添加量を無添加 (S-0), 100 ppm (S-1), 200 ppm (S-3) の3段階に試験区を設定し, 発酵中に生成されるアセトアルデヒド (AcH), ピルビン酸 (PA), α-ケトグルタル酸量 (a-KG) とびん貯蔵中の成分変化について検討した。 1) 発酵時のSO2添加は発酵初期におけるAcHの生成に顕著な影響を与え, 最大値は (S-2)>(S-1)>(S-0) の順であり, それ以後各区とも漸減するが発酵終了後に残存するAcH量は, SO2添加量の多いほど高かった。 2) 発酵初期PAの最大値は (S-2)>(S-0)>(S-1) の順で, それ以後各区とも漸減するが発酵時のSO2添加は発酵後期におけるPAの減少速度を低下させ, 発酵終了後に残存するPA量はSO2添加量の多いほど高かった。 3) α-KG量は発酵の進行とともに漸増し, 発酵終了後に残存するα-KG量はSO2添加量の多いほど少なかった。 4) 貯蔵中のAcHは全区とも増加し, 20ヵ月貯蔵後の増加率は67~116%(S-0)>50~56%(S-2)>30~43%(S-1) の順であった。またa-KGは全区で減少がみられ, 20ヵ月貯蔵後の減少率は44~46%(S-0) ≅42~46%(S-1)>10~12%(S-2) の順であり, 低α-KGレベルの減少率は小さかった。他方PAは貯蔵中殆んど変動は認められなかった。