国産系ブドウと欧州系ブドウおよび試醸ワイン中のカチオンの分布, 含有量について比較検討した。 (1) ブドウ果房における梗, 果皮が占める重金属 (マンガン, 鉄, 銅, 亜鉛) の割合は56.3~71.6%と高く, 果汁の割合は2L4~33.5%, 種子の割合は4.8~10.6%と低かった。アルカリ金風アルカリ土類金属 (ナトリウム, カリウム, マグネシウム, カルシウム) については梗, 果皮の割合が37.9~48.5%, 果汁の割合が37。8~55.8%でほぼ同率であった。種子については重金属の分布と同様, 6.3~13.6%と低かった。 (2) 赤, 白ブドウ果房中のカチオン含有量の差はほとんど認められなかったが, 赤ワイγ 中のカチオンはかもし発酵に起因する果皮からのカチオンの溶出, 移行により, 果汁発酵の白ワインよりは多かった。 (3) 欧州系品種は園産系晶種にくらべ, 赤, 白いずれの品種もカリウム含有量が多かった。