西川らのメチレンブルー・サフラニン〇二重染色法を酒母枯し中およびもろみの酵母の活性度判定に適用し, メチレンブルー染色率および発酵能と比較した。 山廃酒母枯し中の酵母細胞を二重染色した結果, ワケ後10日目頃から青~ 紫区分が急減し, 赤紫区分が急増, ピソク~ 赤十うす茶区分もしだいに増加した。メチレソブルー染色率は赤紫十うす茶区分にほぼ一致した。これらの現象は, 供試菌協会7号, KL-7泡なし変異株およびワイソ酵母W-3の間で大きな差異はみられなかった。 協会7号添加速醸の枯しの場合には, ワケ後20日目頃から青~ 紫区分の急減, 赤紫区分の急増が起った。また, この場合にはメチレンブルー染色率はどの区分とも一致しなかった。 もろみの酵母では青~ 紫区分は初期から急速に減少し, その分が赤紫区分に移行した◎ ピソク~赤区分は全期間を通じて5%前後で, それはメチレンブルー染色率と一致した。また, 青~ 紫区分の減少と発酵能の低下および赤紫区分の増加とアルコール生成とは相関した。 以上のことから, この二重染色法は清酒醸造過程の酵母の活性度判定にも有効であることがわかった。また, 本報で設定した酵母またはもろみ酵母の発酵能簡易測定法も活性度の指標として有効であることがわかった。