昭和52年度における醤油・味噌の研究業績を通覧すると, 大豆や小麦についての食品化学的な基礎研究は相変らずさかんであるが, 醸造関連微生物の麹菌, 酵母, 乳酸菌の生理, 代謝, 分類, 生態, 酵素などの研究がやや減少気味に思われる。一方, 分析機器の進歩にともなう成分の研究成果にはめざましいものがある。この年の特徴は前年度に発生した塩ビモノマーの発ガン性問題に関連して, 食品容器の安全性についての解説が多いことである。また, 環境保全に対する世論はいよいよ厳しく, 排水処理装置の設計や運転のための基礎研究や解説も多い。