1. 前報で分離した協会7号酵母からのアルロール耐性の強い変異株酵母, あるいは野生清酒酵母の中でアルコール耐性の強い酵母はいずれも, その対数増殖期において酵母生菌溶解酵素によって溶解されにくいことを認めた。 2. つぎに, この性質を利用して対数増殖期の酵母に生菌溶解酵素を作用させ, 溶解しない酵母 (生存している酵母) を新しい培地に培養, 集菌後, 再び酵素処理を行う方法を繰り返し行って, 酵母生菌溶解酵素によって溶解されにくい酵母を濃縮し, これより容易にアルコール耐性酵母を分離する方法を開発した。協会6号, 7号, 泡なし6号, 泡なし7号を親株として, この方法で多数のアルコール耐性酵母が分離された。 3. これらの分離株を用いた清酒試醸の結果から, 発酵速度が遅く, リンゴ酸生成能の大きい酵母群と, 協会7号酵母と同じ傾向の酵母群と, 両者の中間の性質を示す酵母群の3つの型に類別された。なお, いずれの分離株もキラーfactorに対して抵抗性があった。