国産系ブドウと欧州系ブドウおよび試醸ワイン中の遊離アミノ酸について比較検討した。 (1) 果汁における遊離アミノ酸の組成は各品種ともPro.(プロリン), Arg.(アルギニン), Ala.(アラニン), Glu.(グルタミン酸) が主体であった。即ち総遊離アミノ酸の中でPro.は25~38%, Arg. は21~31%, Ala. は8~16%, Glu.5~13%を占め, 4種のアミノ酸合計で全体の78~83%を占めた。 (2) 試醸したワインでは果汁時の遊離アミノ酸組成のバラソスが単純化し, Pro.が全体の65~80%を占めた。果汁時にメインのアミノ酸であったArg., Ala., Glu.は発酵により減少し, Pro.は酵母の窒素源として僅かに資化される程度で, 果汁時の53~90%がワイン中に残存した。 (3) 果汁発酵とかもし発酵によるワインの遊離アミノ酸含有量および組成に及ぼす影響は白, 赤いずれの品種ともかもし発酵ワインの方が1.2~1.4倍含有量が多く, またPro.の残存量も果汁発酵ワインの53~72%に比較し74~90%と高かった。組成について両者の差は殆んどなかった。 (4) 国産系ブドウと欧州系ブドウの総遊離アミノ酸含有量は白, 赤いずれの品種とも欧州系ブドウが多かった。特にその差は白品種において著しくセミョンは甲州の, 果汁で1.9倍, 果汁発酵ワインで1.7倍, かもし発酵ワインで1.5倍であった。