試料清酒13点を用いて得られた分析成分25項目, 官能値2項目の単相関行列を求め, その結果を考察した。 1.熟成による各種成分の変化のパターンは、大きく増加型、減少型, 不変型, 混合型の4種に類別できた。 2.アミノ酸度, OD280, アルカリ側および酸性側緩衝能, Fe, Cu, Zn, FCY, フォーリン反応, Trpの10成分は, 官能熟度に共通して高い相関を示した。 3.アセトァルデヒドおよびピルピン酸は官能熟度および上記成分と負の相関関係を示した。 4カルボニル化合物と官能熟度および熟成に直接関与する成分との負の相関関係の理由を考察し, 新酒中のカルポニル化合物濃度が,「醪の熟成度」および「清酒の熟し易さ」の指標になり得ると推定した。