結合様式の異なる9種類のオリゴ糖について, glucoamylaseおよびtransglucosidaseによる分解速度を調べ以下の知見を得た。 1. glucoamylaseおよびtransglucosidaseによるオリゴ糖の分解速度はα-1, 3結合>α-1, 4結合>α-1, 6結合>α-1, 2結合の順であった。この結合様式の違いによる分解速度の差はオリゴ糖の重合度が大きくなるに従って広がった。 2. 非発酵性オリゴ糖の主体であるα-1, 6結合のオリゴ糖はα-1, 4結合のものに較べて, glucoamylaseでは二糖類12%, 三糖類6%, 四糖類1%, transglucosidaseでは二糖類65%, 三糖類55%, 四糖類19%の分解速度であった。 3. エタノール20%存在下の分解速度の低下はtransglucosidaseが大きく, 特に三糖類以下で大きく低下した。 以上の知見から, 醪の初期に多量に生産されるα-1, 6結合を有するオリゴ糖はα-1, 4結合のものに較べてglucoamylase, transglucosidaseによって分解されにくいため清酒に非発酵性オリゴ糖として残存するものと推論した。