FPD-GC法により原料米及び清酒中のDMS前駆物質の定量法を設定し, 次の結果を得た。 1) 検出限界は原料米で約25ppb, 清酒で約6ppbであり, FPD-GC分析時間は約6分である。 2) 常温貯蔵古米をアルカリ分解した時にDMSが生成されることをGC-MSにより確認した。 3) 新米及び常温貯蔵古米を精米し, 各精米歩合でのDMS前駆物質量を定量した。新米では玄米で少量含まれるが, 精米歩合80%で検出されなかった。常温貯蔵古米では50%まで精米してもDMS前駆物質は残存した。 4) 33点の米について小仕込試険を行い, 原料米及び製成酒のDMS前駆物質量を定量した。これらの前駆物質量と貯蔵酒中DMS量及び官能検査値との間には高度の相関があった。 5) 常温貯蔵古米を用いて小仕込を行い, DMS前駆物質の経時的変化を調べた。加熱法では全もろみ期間中ほぼ一定であったが, アルカリ法 (熱アルカリ処理) ではもろみ末期に直線的に増加した。