改良米酢製造について, 原料清酒製造の段階でα米および酵素剤を使用した。また,“むれ香” の少ない食酢製造のために米麹を減らし, 糖化酵素剤との併用を試み, 食酢醸造中の遊離アミノ酸, 香気成分, さらにアセトイン量等を検討した。 1. 原料清酒製造において, α米および普通米仕込とも, 米麹の使用量に比例して, アミノ酸と直糖が多かった。 2. 米酢の遊離アミノ酸では, α米および普通米仕込とも, 酢酸発酵前に多いアミノ酸は, Arg・Ala・Glu・Lysで発酵終了後に増えたアミノ酸は, Gly・Ala・lleであった。数種のアミノ酸を除いて, 全体的にアミノ酸は減少した。酵素剤のみの米酢は, 含量が少なかった。 3. 米酢の香気成分では, 低沸点成分において, 酵素剤または米麹の使用量に関係なく含量は変わらなかった。高沸点成分においては, 米麹の使用量に比例して含量も多かった。α米および普通米仕込とも, アルコール類とニステル類は量的には変わらなかった。 4. 食酢のアセトイン含量は, α米仕込で33mg%, 普通米仕込で57mg%とα米仕込の方が少なかった。 5. 官能試験では, α米仕込食酢は普通米仕込食酢に較べ, 香りはや玉低く味も淡白であった。 米麹の使用量が少ない程その傾向がみられ,“むれ香” も少ない事がわかった。