清酒酵母の細胞壁表層に存在する一部のマンナンが物理的方法で簡単に溶離して来ることから, 酵母マンナンが醸造物中に溶存していることが考えられた。これを証明するために協会7号のマンナンを抗原とする家兎の抗血清を作り, これをもちいて重層沈降反応法により酵母マンナンの酵母培養液, 清酒もろみ中での消長を検討し, さらに清酒, ビール, ワイン中の含量を定量した。この結果, 清酒中には150~300PPm, ビールには20PPm, 赤ワイン20ppm, 白ワインに30PPmが定量された。清酒酵母の高泡酵母と泡なし酵母間のマンナンの菌体外溶離量には差異はみとめられなかった。 また清酒, ビール中の多糖を分離し, その構成糖を分析して, 酵母マンナンとの関係を検討した。