ATPフォトメーターを使用して酵母菌体中, 清酒醪中のATPを測定するための諸条件を検討した。すなわち, 抽出方法, 再現性について調べて測定方法を設定し, 麹汁培地で静置培養中の酵母菌体, ならびに清酒醪中のATPを測定した。清酒醪醪中の酵母菌体当りのATP量は, 麹汁培地の場合と同じパターンで変化した。すなわち, 対数増殖末期に最低であった酵母菌体当りのATP量は, 時間とともに増加し, アルコール生成の停滞と供に減少した。清酒醪においては, 発酵経過の差異によってATP量の極大の現われる時期やその値に差がみられた。