昭和48酒造年度に23製造場より集めた39種類の清酒について, 今までに発表されている着色に関係のある項目についての分析と製造条件の調査を行った。これらの結果についてコンピニータを用い相関・回帰・因子分析を試みた。 1. 製品出荷後の着色度, 同着色増加量と相関の高い項日には新酒時の着色度, 100℃60分間加熱後の着色度, 同着色増加量, アミノ酸度, フェリクローム類, アルカリ性側緩衝能, 窒素配糖体, UV吸収 (265,270nm), 全窒素などがあった。 2. 製品出荷後の着色度, 同着色増加量などを目的変数とし, 新酒時の成分を説明変数とする重回帰分析を行い, これらの値を重回帰式で表わすことを試みた結果, 分析の簡単な項目を説明変数とする寄与率の高い予測式が得られた。これらの予測式を別の年度の試料に当てはめてみたところ, 予測値と実測値がかなりよく一致し, 実用可能と思われた。 3. 清酒についての分析結果および製造条件に関する調査結果について因子分析を行い共通因子として7因子を抽出すると寄与率は77.2%であった。そのうち寄与率27.4%の貯蔵着色に関する因子では負荷量の大きな項目として貯蔵後の着色度, 同着色増加量, UV吸収 (265,270nm), 窒素配糖体, アルカリ性側緩衝能, トリプトファン, チロシン, 上槽時のもろみの品温などがあった。 4. 今回の解析で, 清酒の着色に関する項目がかなり要約でき, 現場での品質管理に役立つものと思われた。