1. 秋田県産の市販清酒18点を供試して, 加温 (澗) 前後の成分変化について検討した。燗は, 45℃, 5分間加温したものである。 2. 一般成分中, 日本酒度, 酸度, 糖分, pHとも燗前後に大きな変化はなかったが, アルコール度はわずかに減少, 色度は増加した。また, アミノ酸度は燗後の全試料ともフォルモール滴定値で0.1~ 0.3m l 減少した。 3. 微量成分では, アルデヒドが最も顕著な減少を示し, その減少率は10~18%も高く, アルコール含有量の多い清酒ほど減少が激しかった。また, 3-デオキシグルコソン値も微増し, フェリシアナイド還元物質値が減少した。 4. 燗前後の試料での酸化還元電位は, 燗後のものが高いrHを示したが, アミノ酸組成や有機酸組成は大差が認められなかった。