昭和55年度の醤油・味噌の研究業績をみると, 醸造原料としての大豆, 小麦, 米に関する直接的な研究が少なくなってきているが, 醸造微生物に関する研究がやや増加し, なかでも醤油乳酸菌の利用に関する研究の展開が注目される。昨年に引続き, 高速液体クロマトグラフィーによる原料から製品までの高度な分析やその品質管理への利用が盛んに試みられ, ほぼ定着したこと, さらに醤油・味噌の褐変反応を含む各種の褐変反応に関する研究が反応機構から反応生成物の諸性質まで広範に行なわれるようになってきたことが注目されよう。醤油や味噌の利用についての特許も数多いが, 醤油・味噌の需要拡大のために一層の研究の発展を期待したい。