中国地方5県下の清酒製造場416場からランダムに151場を選び, もろみにおける野生酵母の汚染度とキラー酵母の検出度を調査した。同時に, 各もろみの使用酒母と使用酵母の種類, 試料採取時の状貌およびもろみ酸度も記録した。 TTC重層法で野生酵母が検出された製造場は32場 (21.2%) であったが, 汚染度10%以上のものは7場 (4.6%) だけであった。β-アラニン培地法で野生酵母が検出された製造場は全部で31場 (20.5%) であった。このうち協会7号系酵母を使用している製造場で野生酵母が検出された頻度は118場中17場 (14.4%) であったが, 協会7号系以外の酵母を使用している場合には33場中14場 (42.4%) と高く, 協会7号がコンタミナントとなっていることが考えられた。 キラー酵母が検出された製造場は4場 (2.7%) だけであった。また, キラー酵母のそのもろみにおける占領率は2.0~28.6%であり, 感受性酵母と共存していたものと推察された。 以上, 中国地方における清酒製造場の野生酵母に対する菌学的管理はかなりよいことが分った。 終りに臨み, 本調査を行うにあたり御協力いただきました各清酒製造場の方々に深謝いたします。