宮崎県の醸造用水63点について4地域に分け, 19項目の分析調査を行った。南西部のシラス地域では深井戸が多く, シリカが多い。又, 深井戸には鉄, マンガンの多いものがある。南部の海岸小平野において, 塩水化した井水が2点あり, その井水は硫酸イオン, 重炭酸イオンも多い。他にリン酸の多い試料もある。北部は湧水を醸造用水として利用している工場が多く, 他の地域に比べて溶解成分が少ないが, 若干アンモニアの値が高い。中央部及び東部の沖積低地においては30m以浅の浅井戸が多く, pHが6.0以下のものや, 鉄, マンガン, 硫酸イオン, 硝酸態窒素, 有機物の多い試料などがあり, 又これら浅井戸の試料採取時期を変ると, 特に硫酸イオン, 硝酸態窒素, 鉄などの変動の大きいものがあり, 揚水量の増減などに左右されると考えられる。 宮崎県の本格焼酎は20度が主体で製品の中身の半分は直接醸造用水が占める。したがってその意味からも焼酎醸造用水について今後共さらに検討をすすめてゆくべきであると考える。