微生物管理は醸造の要諦であり, 品質設計の根拠をなすものである。野生酵母の検出には, 過去20年間TTC染色法が多用され, その使命を果してきた。しかし, それがTTC染色の色調に基づくため, やや再現性に乏しく, また野生酵母の検出にも限界があった。 著者らの方法は, 簡便さにおいてTTC染色法と同等であり, 野生酵母の検出は明確であって, 熟練を必要としない。また, 現在頒布されているすべての協会酵母に適用できる点でβ-アラニン法にまさる。なお, この方法は酵素活性に基づくため, 定量的な取扱いによって, 野生酵母の即日検出ができる点も興味深い。今後, 大いに活用すべき方法であろう。