仙台国税局管内の清酒製造場で純米清酒の販売量の多い製造場42社の純米清酒 (生酒) を用い, 品質及び各種製造歩合に影響を及ぼす成分と工程要因を知る目的で単相関分析を行った。その結果, 各官能値と5%以下の危険率で有意な相関関係の得られた項目は, 次のとおりであった。 1.「総合品質」と酒母及び膠掛米精米歩合, 仲添温度, 酸度アミノ酸度で代表される窒素成分, 着色度, アルコール分 (いずれも正の相関関係) 2.「味のきれいさ」と汲水歩合の他上記「総合品質」の各項目 (汲水歩合のみ負の相関で他は正の相関関係) 3.「味の濃淡」と汲水歩合, 膠掛米精米歩合, アミノ酸度で代表される窒素成分, 酸度, アルコール分, 日本酒度, 全糖及び着色増加量 (汲水歩合及び日本酒度は負の相関で他は正の相関関係) 4.「甘辛」と留添温度, 5日目及び10日目迄の昇温度, 純アルコール収得量, 汲水歩合, 四段歩合, 日本酒度及び全糖 (留添温四段歩合及び全糖は正の相関で他は負の相関関係) 一方, 製造歩合については, 粕歩合, 膠垂れ歩合, 肉垂れ歩合, 清酒歩合と15日目及び18日目品温最高品温5日目又は10日目迄の昇温度等の温度要因が高度に有意な関係 (粕歩合のみ負の相関で他は正の相関関係) にある他, 純アルコール収得量と総米量及び汲水歩合, 日本酒度, 酸度等の間に有意な正の相関関係がみられた。