還流機能を組み込んだ単式蒸留機による本格焼酎モロミの蒸留試験を行い, 次の結果を得た。 1.蒸留中, 終始, 発生蒸気を還流部に通すことにより, 留液エタノール濃度が上昇し, 特に蒸気圧0.20kg/cm2で蒸留を行った場合, 還流部を使用しない場合より1.5倍程度まで上昇するが, 蒸留時間は長くなった。 2.還流部を通し, 蒸気圧0.20kg/cm2で蒸留した場合, 初留液より後留液に至るまで留出液のエタノールは他の運転条件より高濃度になり, 酢酸エチル, イソアミルアルコールは初留の高濃度エタノール域に大部分留出し, イソアミルアルコールは留出量が減少した。 3.中沸点成分は従来型蒸留機を使用した場合とほぼ同様な留出経過となったが, 油性成分については, 後留部にも留出量が増加した。 4.有機酸, 及びβ-フェネチルアルコールは, 蒸気圧0.20kg/cm2で還流部を通して蒸留を行った場合, 留出量が減少した。 5.官能審査の結果は, 終始わたり3段目だけを使用して還流部を通した製品より, 後留部にだけわたり3段目を使用した製品の方が品質評価が良かった。