ワイン発酵中のG/F比にワイン酵母菌株および補糖の方法がどのような影響を及ぼすかを検討すると共に, 市販ワインおよび貴腐ワインの糖組成およびG小F比の測定値から, それぞれのワイン発酵中における果汁あるいは補糖の添加の有無について検討した。 1.供試ワイン酵母20菌株の残糖が2%になるとG/F比が0.1%になり; 糖に対する選択性glucophileであった。 2.糖濃度がほぼ同じ補糖果汁および冷凍濃縮果汁の発酵中のG/F比の変化はほとんど差が認められなかった。 3.補糖にGluを用い残糖が多いうちに発酵を中止した場合はG/F比が高いのに対して, 残糖が2%以下ではG/F比は0.1%以下となり, 残糖のほとんどがFruとなった0 4.補糖した時点の果汁のG/F比の高いものほど消費した糖のG/F比は高い傾向を示した。 5.糖含有量31.3%の貴腐果汁発酵中のG/F比は0.98から0。28まで低下し, 発酵終了時Gluの消費量はFruの約1.6倍であった。 6.糖濃度が約44%以上の貴腐果汁を発酵させた場合, エタノール生成量は4.20-6.449小100mlと低く, Sucが残存し, G/F比は1.45-2.31と高い値を示した。 7.G/F比が高い市販テーブルワインは発酵後期以後に果汁あるいは補糖が行なわれている可能性を示唆した。 終りに臨み, 貴腐ワインを提供下さいました富士屋醸造株式会社社長, 名執正武巳氏, 故内藤恒夫氏ならびに御校閲を賜わった山梨大学名誉教授小原巌氏に深謝致