酵母を利用した低食塩醤油の製造の可能性を検討し, 次の結果を得た。 1. 仕込時に諸味1g当り106レベルの酵母を添加し, 発酵適温にて熟成させることにより, 諸味液汁食塩濃度8%まで低塩化は可能であった。しかし, pHの低下が緩慢であり官能的には味のしまりに欠けるとの指摘を受けた。 2. これの欠点を補うためには, 仕込時に0.3~0.4%の乳酸を添加して諸味pHを5.0前後とし, 酵母を105/gレベル以上添加すれば, 窒素成分の溶出は僅かに低下するものの, 品質は改良できることが知られた。 3. また冷水仕込みを行い, 加温後の諸味pHが5.5前後で速かに106小gレベル酵母を添加すれば, 香味とも良好な低食塩醤油が製造できることを認めた。