米粉に吸着されたα-アミラーゼが活性を保持し, 吸着部位と活性部位の異なっていることを確認するために種々検討した。 1.米粉に吸着されたα-アミラーゼ(吸着米)のα米に対する溶解作用はα米の粒度を小さく, しかも振とうすることによって, α-アミラーゼと基質の接触する機会を多くするほど増大した。 2.吸着米のα米粉に対する溶解作用は, 反応系に食塩を添加してα-アミラーゼを米粉から遊離させることによって著しく増大した。 3.可溶性デンプンの分解に関与した吸着米のα-アミラーゼは, 食塩添加系24units, 食塩無添加系6unitsであり, 後者は前者の25%であった。 4.米粉に吸着されたα-アミラーゼの吸着部位と活性部位が異なっていることを確認するため, 分子量の異なる基質を用いて酵素作用を行い, 食塩添加系と無添加系の分解比を求めたところ, 分子量の大きいものほど分解比が小さく, 分子量の小さいものは逆に分解比が大きくなった。この結果から米粉に吸着したα-アミラーゼは活性を有しており, かつ吸着部位と異なることが示唆された。 終りにマルトペンタオースをご恵与下さいましたキッコーマン(株)の原田倫夫氏, 本研究の御指導を賜わった前国税庁醸造試験所長秋山裕一博士ならびに現所長佐藤信博士に深謝いたします。