強酸性陽イオン交換樹脂Amberlite IR-120B 500mlと米製しょうちゅう1500mlを15℃ で混合し, しょうちゅうの組成変化を検討したところ, 24時間後には反応前の酢酸エチルの約30%が減少したが, イソブチルアルコール, n-プロピルアルコール, イソアミルアルコールの変化は小さかった。 本格しょうちゅうの精製に用いられている装置を用いて麦製しょうちゅうをSV2.7で22時問流し, 経時的に組成の変化を調べると共に, SV1.7~5.0の範囲で流量を変えてしょうちゅうの組成の変化を検討した。 装置全体として見るとSV2.7の場合, フルフラールはほぼ完全に除去され, アセトアルデヒドも原酒の30%以下に減少し, これらの化合物の除去にはこの装置は有効であることが認められたが, しょうちゅうの芳香成分であるエステル類も大幅に減少した。 酢酸エチル, 酢酸イソアミルは60~80%減少し, その他含量の少い種々のエステル類も減少していることが認められた。 流量を変えた場合は, SVの小さい場合ほどエステル類の減少が大きかった。 このようなエステル類の減少はH型又はOH型イオン交換樹脂の触媒作用によるエステル類の加水分解反応によるものではないかと考えられた。