昭和52酒造年度に秋田県内の4酒造場で,吟醸仕込に用いた酒造好適米3品種と,一般米4品種15点の玄米について,相関関係および主成分分析を行い次の結果が得られた。 (1) 好適米の山田錦は,兵庫と岡山産のもので形状がやや異るようであるが,今までの報告と同様,八反,高嶺錦に比べて形状も大きく,蛋白質,カリウムなどの化学成分も少ない。 (2) 広島八反は,平均よりやや大きめであるが,化学成分に産地の影響か多少バラツキが見うけられた。 (3)高嶺錦は,長野県の好適米であるが,入荷した酒造場によって形状に差が認められることと,化学成分が一般に多い傾向を示している。 (4) 秋田県産米の一般米では,ヨネシロが八反の形状に似てやや粒が大きく,キヨニシキ,トヨニシキ,レイメイは小粒に類別された。なお,トヨニシキ,レイメイは,蛋白質,カリウムがやや多い傾向を示し,ヨネシロ,キヨニシキは平均的かやや少なめであった。終りにあたり,本研究に御尽力いただいた前仙台国税局鑑定官室の秋本雄一室長並びに室員の皆様と御校閲下さいました国税庁醸造試験所吉沢淑博士に深く感謝いたします。また,試料の提供に御協力下さいました秋田酒類製造(株),小玉(名),天寿酒造(株),秋田銘醸(株)に対し深く御礼申し上げます。