1) 稲麹中における U. virens と A. oryzae の分布状態について調べたところ, 供試した稲麹によって両菌の存在割合には大きな差のあることがわかった。 2) 稲麹の付いていない健全な水田の稲の穂, 葉, 茎, 土壌には多数の A. oryzae が棲息しているが, U. vinns は分離できないこと, また稲麹の付着している水田の稲の葉や茎からは U. virens と A. oryzae が分離されることなどを知った. このことから, 稲作水田の周辺には絶えず A. oryzae が棲息していて, 何らかの原因により U. virens が穂に増殖して稲麹の菌叢ができ, これにその周辺に棲息していた A. oryzae が付着して混在することが考えられた。 3) 稲麹から分離した U. virens と A. oryzae を同一平板培地上に接種しても互にその増殖を抑えることなく, 共存できることを知った。このことは基本株として供試した U. virens IFO-5293と A. oryzae RIB-647でも確認された。