高精白米を用いた酵素剤仕込で尿素, リン酸塩, カリ塩マグネシウム塩及びビタミンB群 (6種) を添加すれば, 高濃度 (20%以上) のアルコール生成が可能であることから, これらの栄養源のなかから窒素源とミネラル源を単独に除いたもろみを仕込んで, その効果を調べた。 尿素を加えなくても20%以上のアルコール生成は可能であった。酵母の増殖量の面からは窒素源の補給は必要でないが, もろみ後半での発酵持続の面からは添加が必要と思われる。 ミネラル類を全く加えないとアルコールの生成は著しく低下する。初添から仲添までの酵母数は低くかったが, 留後はミネラル類を加えたもろみと同じであった。単独に除いた試験で, リン酸無添加やカリ塩無添加もろみでは, 最大アルコール生成量は低下するが20%以上の高濃度アルコール生成を示し, 酵母数も低くなかった。マグネシウム塩だけを除いたもろりでは, アルコールの生成量が著しく低下したが生菌数はミネラル類を加えたもろみと大差なかった。しかし, マグネシウム塩を単独に加えてもアルコール生成量が低かったことから, 高精白米使用の酵素剤仕込でミネラル類を添加して高濃度アルコールが生成されるのは, これらの3種のミネラルが相剰的に作用しているものと推察した。高濃度アルコール生成にミネラル類の添加が必要であることは, 使用した清酒酵母5株とも共通した動向であった。