スエヒロタケ (Sokizopkyllnm commune) を用いた炭酸固定発酵におけるでんぷんからのリンゴ酸生成について検討した。 1.本菌はグルコースから対消費糖86.5%の高収率でリンゴ酸を生成した。 同じ結果がでんぷんを原料とした場合も得られた。 2.本菌は生育にはチアミンを必須に要求する。 但しリンゴ酸生成には5~20μg/100mlが適当で, 多いとリンゴ酸生成は抑制された。 3.無細胞抽出液を用いてphosphoenolpyruvateからリンゴ酸の生成を認めた。 この反応にはPiが必要で, GDP, ADPは必要でなかった。 4.NaH [14C] O3を用いた実験で, リンゴ酸生成反応が炭酸固定反応であることを証明した。 5.本菌は培地中に多量のグルコアミラーゼを生産することを認め, この炭酸固定発酵の原料に, 比較的安価なでんぷんが使用できることを示した。