清酒の脱色処理を迅速かつ効率よく行うと同時に, 鉄分, 混濁物質の除去をも合わせて行う速降炭素による脱色法について検討し, 次のことを明らかにした。 1. 粉末活性炭素に粉末柿渋などのタンニン系物質ゼラチンなどのタンパク物質を混合したもの, アルギン酸ナトリウム, カラギーナンなどの多糖物質を組合せて混合したものの脱色試験を行った結果沈降性および脱色効果の大きい組合せは粉末活性炭素に対し, 粉末柿渋1.0~2.0%, ゼラチン0.5~1.0%にカラギーナン2.0~5.0%の3種類を混合したものであり, これらの混合物を速降炭素と名付けた。 2. 速降炭素を用いた清酒の脱色処理は, 清酒の火入れの有無や使用した活性炭素の種類及び添加量に関係なく添加後30~60分程でほぼ沈降が終了して戸過性が著しく高まり, かつ, 脱色, 脱鉄および混濁物質の除去効果は非常に良好であった。 3. 速降炭素処理は従来の活性炭素処理よりタンパク質やアミノ酸の吸着が良いが, その品質には差異は認められなかった。