酢酸ナトリウム (S・A) を利用した食堪9%味噌の醸造に際し, Phalophilusを106/g添加した場合の乳酸菌と酵母の動態を調ぺた。S・A無添加では明らかに酸敗を呈したが, S・A0.4~0.6%の添加では乳酸菌酵母とも対照 (食塩12%) 味噌とほぼ同様な消長を示し, 酸及びアルコールの生成量からも適度の発酵が行われたと判断された。S・A0.8%以上の添加では乳酸菌, 酵母とも生育が抑制された。また, これに s. rouxii 105/gを混合添加した仕込では, 乳酸菌が抑制されるS・A0.4~0.6%の条件でも酵母はほとんど影響を受けず, 食塩9%の低食塩下で旺盛な発酵を示した。しかし, 乳酸菌はこの生成アルコールとS・Aのため生育はほとんど抑制された。本法では酵母添加の必要性はないが, 仮に添加する場合にはS・Aの添加量を低減する必要がある。