総米100kgの仕込みを3本 (対照醪, 胚芽添加醪, Mg2+, K+, PO43-の無機イオン添加醪) 行い, 醪炉液中および製成酒の香気成分の変化について調べた。これらと関連が深いと考えられるalcohol acetyltransferase活性と酵母のATP量についても併せて検討した。 酵母によるアミノ酸代謝と関連の深い高級アルコールの生成については, 胚芽添加酵で i -AmOHの生成が多かったが, 無機イオン添加は対照と大きな差はなかった。TyrOH, TrpOHも i -AmOHとほぼ同様iのパターンを示したが, フェネチルアルコールの酵中の生成パターンはこれらと異なり,“落泡時” と “地” に2つのピークを持つ特徴的なパターンを示した。 i -AmOAcは胚芽添加が多く, 次いで無機イオン添加, 対照の順であった。また, E/A 比では, 胚芽添加, 無機イオン添加が対照酒に比ベ, 製成酒でそれぞれ1.3, 1.2倍となった。 i -AmOAcの生成に関与していると言われているalcohol acetyhransferase活性の変化は, 留仕込後に減少し醪末期に再上昇したが, i -AmOAc量の生成パターンと見かけ上相関はなかった。