前培養時のマグネシウム量が, 酵母の増殖, 及びアミノ酸取り込み能に及ぼす影響を調べ, 次の結果を得た。 1) 酵母の増殖に関しでに5ppmあれば十分だが, アミノ酸取り込み能は1,000ppmまでマグネシウム濃度の上昇とともに高まった。 2) 培地のマグネシウム濃度を変えると, 培養後の菌体の金属含量が大きく変わるが, アミノ酸取り込み能との直接的関係は見出されなかった。 3) 酵母をマグネシウム濃度の低い培地で培養し, 時期を変えてマグネシウムを添加して培養を続け, 培養後の酵母のアミノ酸取り込み能を測定したととろ, マグネシウム添加が酵母の増殖期以前であれば効果があるが, それ以降に添加しても効果が認められなかった。 4) マグネシウム濃度を5ppm及び1,000ppmとして前培養し, 本培養培地に移したところ, 本培養培地のマグネシウム濃度が低いとき (5ppm) には, 酵母の増殖の盛んな時期に前培養の影響がみられた。 5) 今回調べた4種類のアミノ酸に関しては, 高濃度のマグネシウムで前培養することによって, いずれも取り込み量が増した。