K+, Mg2+及びPO43-を多く含む培地で前培養を行った酵母を用い, 醪あるいは製成酒の成分の検討を行った。 1) 胚芽ならびに無機塩培地前培養のものは, 膠前半でかなり炉液中のアミノ酸量が少なくなった。特に一段仕込ではその効果が顕著で, 製成酒においても10%程度の減少が見られた。 2) 個々のアミノ酸についてみると, ほぼ全てのアミノ酸が減少していたが, Ala, Le登, Lys及びArg等の減少率が大きかった。 3) 酵母菌体内の総アミノ酸量は, 前培養終了時ですでに異なり, コントロールに比べ1.5~1.7倍程度高くなったが, その差は膠後期になるに従い, 徐々に小さくなった。しかし, 一段仕込では上槽日まで差が認められた。 4) 一段仕込によって得られた製成酒では, i -BuOH, i -AmOH, i -AmOAc等の香気成分含量が増加した。