米麹に多く含まれる粗脂肪の除去を主な目的として, 炭酸ガス, 及びエントレーナとしてエタノールを用いた超臨界ガス抽出処理を行った。 1. 粗脂肪は, 炭酸ガスのみの処理で, 粒状の場合, 85/30麹では約49%, 85/9麹では約25%の除去率となり, 水分含量の多い方が効率が高かった。又, 80/9麹の粉体試料では, 約92%の除去率となり, 水分含量の低い場合は, 粉状の方が効率が高かった。エタノールを添加した場合の効率はそれぞれ向上した。 2. 結合脂質は, エタノールを添加した場合に85/30麹では30~40%除去された。 3. 処理により, 85/30麹の脂肪酸の飽和度 (飽和脂肪酸含量/不飽和脂肪酸含量) が, 炭酸ガスのみの場合には, 0.58から0.62へ, エタノールを添加した場合には0.71へと上昇した。 4. 酵素力価は, 炭酸ガスのみの処理では, 麹の水分含量にかかわらず, 各酵素とも90%以上の活性を有した。エタノールを添加した場合, 85/9麹では, AAase, GAase, APaseは約85%以上の活性を保ったが, ACPaseのみエタノール濃度が高くなるのに従い, 活性が低下した。85/30麹では, 全体に活性の低下が大きく, 特にACPaseは, エタノール濃度2%前後から急激に低下した。 5. 処理に伴ない, 麹水分の減少がみられた。85/30麹では, 炭酸ガスのみの場合4時間で約18%にエタノール10%添加の場合約11%に低下した。 6. 麹中の微生物は, 大幅に減少し, エタノールを添加した場合には, ほぼ完全に殺菌された。